Focus on Hat Designer Takayuki Kijima
「ハットデザイナー・木島 隆幸」
08sircusのコーディネートには欠かせない
KIJIMA TAKAYUKI のハット。
kiminori morishitaの時代から交流があり、
08sircusでSSシーズンに続き22AWシーズンもコラボレーションする
KIJIMA TAKAYUKIのアトリエとショップを訪ねた。
その美しいモノづくりを探る、
第二回目のゲストは
ハットデザイナー 木島隆幸氏です。
-木島隆幸氏の帽子に対する想いとは
中学生の頃からファッションに興味を持ち、当時流行していたデザイナーズブランドではなく、古着屋でそれぞれのアイテムをチョイスし、コーディネートするのが楽しかったと語る木島氏。将来ファッションの仕事に携わりたい、けれどどうやって関わっていこうと考えるようになる。
単純にファッションは好きだけど、アパレルではないのかもしれない…
そしてその時代や流行りの音楽などのストリート的要素に合わせ、スタイルを決める際のキーアイテムになる帽子に注目する。
洋服にどう溶け込むかが帽子は大切であり、帽子があることでより格好良く、今のファッションになじむことをイメージしながらデザインするという。
木島氏にとって帽子とは、コーディネートするとさらにスタイリングがアップデートできるアイテムなのだ。
-KIJIMA TAKAYUKIとkiminori morishitaのクロスロード
その出会いはParis。定期的に森下がパリでショーや展示会を行っていた時期に、木島氏が視察でパリを訪れたところから始まる。
その後、パリでは数シーズン同じ場所で展示会を行い、訪れるたびに食事を共にする仲となった。
08sircusについて木島氏は、妥協を許さない美学と着用時のドレープが美しく繊細なイメージだと語り、帽子のオートクチュールを学んでいた職人的な自分に森下が興味を持ったのではないかという。
コラボレーションでは08sircusのコレクションで使用される生地が持ち込まれ、帽子作りには通常選ばない生地でも帽子作りが要求される、それが面白く職人の腕がなるのだと。
22AWのコラボレーションで使われた裏毛のシャギーの生地はストレッチ性があり、立体的な帽子を作るには大変な素材。そこに海軍のセーラーハットをベースにありそうでない、通常では採用しない生地を活かしたデザインが生まれた。
パターンを引き、裁断、縫製までの一連の流れを自身で行う木島氏はライブでステッチや縫い方を変えていく。
このステッチを一本入れるかどうか、経験値とセンスが成すその職人技がこのコラボレーションにも宿っているのだ。
帽子といえばキジマ タカユキ。
日本人の顔のつくりにつばの角度や長さを合わせた帽子を作ることができ、ミリ単位にこだわる職人だ。
全ての工程を自身でも行う木島氏のこだわりが大好きだと語る森下からは、その作業を目の当たりにした瞬間を思い出し、興奮した雰囲気がうかがえる。
以前、帽子をお願いしていた方は高齢で引退、もう自身の求めるものを作っていただける方はいないだろうと諦めていたという。
そこに現れたのが、木島氏である。
「自身が求めるクオリティを表現できる人が存在した、あの時は神に見えて感動したよね。」
木島 隆幸
1990年から94年までの5年間、帽子デザイナーの第一人者である平田暁夫氏に師事。「イッセイ ミヤケ」、「ヨウジヤマモト」、「コム デ ギャルソン」などの帽子製作に携わり、ヨーロッパのオートモードの技術を習得。前身のブランド「coeur」から2013年にブランド名を自身の名前である「KIJIMA TAKAYUKI」に改め、メンズライン、ウィメンズラインの展開をスタート。1995年に東京・代官山にアトリエを設立し、1999年、直営店をオープン。アトリエでは熟練した技術を持つ職人たちが、手作業で一つ一つ丁寧に商品を作り上げており、そこでは量産的生産方法には出来ない、柔らかく心地よい着用感を生み出す独自の技法が用いられている。さまざまな事柄から伝わる時代の空気感を独自の視点とバランス感覚で取り入れ、「スタイリングで活きるデザイン」をコンセプトに展開している。