Focus on Garment Dyedat Uchida Dyeing

「製品染め」

今シーズン、森下の気分を表現するためには欠かせない製品染めのアイテム。創業から110年以上の歴史を誇る内田染工場には08sircusが今の時代に伝えたい多くの職人たちの熱意が溢れていた。

-古くて新しい、製品染めに対する想い

1990年代には都内に100社以上存在した染色工場。技術の継承や機器の維持が難しく、現在は存続できている工場が一桁台までになってしまっているという。

"ここ何年もファッションのトレンドはきれいめ。そこに時代が回り、世の中が素材や色の見え方に対して染めたり後加工したものにもまた少しずつ興味を持ってきたのかな" と話す森下。

全体の中に少しずつ、加えていきたい、
人がいないと、手を加えないと、できないもの。

"過去に製品染めはやりつくした" と言う森下だからこそ、今表現したい製品染めのアイテムは2022SSのシーズンVisualからも感じとることができる。

-感じた先にある、08sircusのリラックススタイル

シルエットとして緩く柔らかいだけの表現ではなく、着用感も見た目もリラックスした雰囲気を違う切り口で提案したい。

素敵なものに仕上げる。今の時代を今のリラックス感を表現するためには、新しい手法として改めて製品染めが必要なのだ。製品染めでしかできない緩さが魅力的なのだ。

洗いざらしの風合いはまっさらな新品よりも美しく、製作過程のシワや服の持つ雰囲気から放たれる、古くて新しい感覚。それを森下自身の服作りのルーツにあった、製品染めで表現する。

その過程は陶芸によく似ていると語る森下。気温や湿度などその時の環境に左右され、その時にしかできない陶器はとても繊細でありとても美しい。それが新しくおもしろい。一期一会なのだ、と。

量販店の既製品とは違い、統一しにくいからこそ楽しめる製品染めの服の楽しさ。違う領域でできあがったプリントでは表現できない偶然の産物であり、できあがった時にしか分からない面白さは唯一無二。リスクを覚悟してでも非効率で手間がかかる製品染めにはこだわっていきたい。

素材によって染め工程での縮率が異なるため、縫製後に仕上がり寸法の確認を行う。縫製に使う糸も耐久性を考慮した別素材の染まらない糸を使用。

手に取った人だけが分かる特別感。

分かりづらいかもしれないが静かに、確かに、凛として存在する服。それが製品染めの服であり08sircusである。

-内田染工場-

ぶつけられた想いに対してしっかりと対応して乗り越えていった時に、お互いの気持ちが通じ合い深まっていく信頼関係を築き上げていきたいと語る 3代目社長 内田光治氏。以前、森下から依頼を受けた時にはすでに現場スタッフとして働いていらっしゃったという内田社長。また森下と一緒に仕事ができるのは嬉しい、こんな時代だからこそ積極的によいものを一緒に作り上げていきたいと語ってくださる笑顔が印象的でした。

内田染工場のHPもぜひご覧になってください。

https://uchida-d-works.co.jp/

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